「献血鬼の言い分」
牧師 横山順一
神学生の時に、知り合いの友人が交通事故に遭って、緊急にO型型の血液が必要と連絡が来た。
一も二もなく応じたのだが、実はその日、既に赤十字の献血で四百CCの血を抜いていた。
その上に、更に八百CCの血を抜くことになった。しかし、何ともなかった。
むしろ、献血で血を抜くと、かえって体調が良くなる気がしていた。体が軽くて、心も軽やかって感じ。
「多血症」と言われたことがある。決して血の気が多いということではないですよ。多血症とは、血液中の赤血球の量が多い状態で、血液検査のたびに、この項目だけ赤がつく。平均値をかなり上回る数値だ。
牧師になってから、口先だけで生きている自分が嫌になって、せめても人様のお役に具体的に立てる、私の唯一の持続的行動は「献血」だと定めた。
その時、それまで紙媒体だった献血手帳をうっかり捨ててしまったので、以前の十数回分の記録も飛んでしまったのは口惜しい。
それで、成分献血をすることにした。少し余分な時間がかかるが、基本血液は戻されるし。それより、一時間くらいの時間は、牧師には自在だった。テレビも観れるようになったしね。
今年一月、念願の通算百回を達成した。途中でガンを患って、五年間、献血できない期間があったので、想定より遅れてしまった。
でも幸い、抗がん剤や放射線治療をせずに済んだからこそ、献血再開できたのだ。そこは感謝。
百回を達成したので、これからはゆっくりしようかと思ったけど、結局二か月に一度のペースはすっかり癖になっていて、先月、百三回目の成分献血に行って来た。累積時間にするとどれくらいのご奉仕か。
献血ルームへの往復時間を入れると、大体一回あたり三時間として、百回で三百時間余。
これまで生きた時間で割ってみたら、何と○、○五%でしかない。何ともささやかなご奉仕だ。
今はミント神戸(十五階)に行っている。神戸製鋼ラグビーチームが後援しているので、ファンの私には嬉しい。それで「献血に行こう」ポスターを貰って来た。
若い人の献血が減っていると聞いた。人口そのものが減ってのだから当たり前だ。
でも神鋼ラグビー部とともに、私も献血を呼びかけたい。人様のお役に立てる前に、血液検査や心電図などで自分自身の健康チェックになるから。
以前は一週間以上かかっていた検査結果も、二日足らずでネットで見ることができる。
時間がある方には、ぜひとも献血ルームをお勧めしたい。マンガもたくさんある。アイスも飲み物も自由に摂ってよろしい。
ミント神戸と梅田阪急グランドビルのルームは見晴らしも良くて気分がいい。
西宮北口アクタと三宮センター街のルームは窓がなくてちょっと閉塞感で残念。
西梅田のヒルトンプラザウエストは、十階まで行くエレベーターがシースルーで超怖い。
看護師さんに男性が増えたとつくづく感じる。皆さん針を入れるのが上手だ。ガイドブック風に言うなら、楽しみ方色々!
限度の六十九歳目指して、献血道を歩むぞ、おーっ!