「新型コロナの思い出」
牧師 横山順一
 
 子どもが小学生の頃、PTA副会長を仰せつかった。高知の学校の時だ。
 執行部でよく飲み、歌った。会長の十八番は小林旭の「自動車ショー歌」(作詞・星野哲郎、作曲・叶弦大)だった。
 実は初めて聴いた。だが何十回も聞いているうちに、会長の歌として覚えてしまった。
 その一節は「♪あの娘をペットにしたくって ニッサンするのはパッカード 骨のずいまでシボレーで あとでひじてつクラウンさ
ジャガジャガ飲むのもフォドフォドに ここらで止めてもいいコロナ」と当時のクルマや自動車会社をシャレにしたもの。
 そもそもは1965年(昭和40年)、「投げたダイスが明日を呼ぶ」という小林旭主演の映画の挿入歌だった。
 小林扮する主人公氷室は、ギャンブラー。神戸の賭博場で知り合いが殺され、遺骨を持って小豆島へ渡るストーリー。
 それはどうでも良いのだが、例の挿入歌も中身はない。「ニッサンするのはパッカード」なんて、未だに意味が分からない(笑)。
 一節の最後は、当初「ここらで一発シトロエン」だった。これが問題となって放送禁止となり、変更されて「ここらで止めてもいいコロナ」となったという。
 私が密かに心の盟友としている、一度も会ったこともない同い年の漫画家やくみつる氏が、某週刊誌に連載しているマンガで、この歌を取り上げていた。さすがは、やくさん!どうなるか分からない東京オリンピックを揶揄っている。
 それは「♪五輪をレガシィにしたくって ヴィッツり事態が プジョーでも ノートは言えずに 頬っカムリ カイエンしますと
アクアでも キューブしのぎで 
ヤリスごす ここらで止めてもいいコロナ」と歌う。
 皆さん、シャレに使われたクルマ、すべて分かりますか?(笑)。
 伝道師になった年に長女が生まれた。やっぱりクルマは要るだろうと、義父が新車をプレゼントしてくれた。
 決して裕福ではない義父からの、本当に嬉しい贈り物だった。それがトヨタの新型コロナ(9代め)だった。
 新車なんて生まれて初めてだったし、フル装備(パワステ・エアコン・カーステレオ等)も初体験だった。
 三人目が産まれてワンボックスに代えるまで、一家であちこちドライブしたものだ。中でも、東京から岡山まで、長距離帰省の旅は忘れがたい。
 スマートなセダンで、扱いやすく、故障知らず。飽きの来ない、よくできたクルマだった。まさに「ペットにしたくって」だったと振り返る。
 一時はカローラより人気があったが、残念ながら2001年に11代、44年の歴史を刻んで販売終了した。
 蔓延するウイルスのさ中、不謹慎かもしれないが、私にとって「新型コロナ」と言えば、あのトヨタコロナでしかない。若かった我が家と義父の思い出がいっぱい。ここらで止めてもいいコロナとはならない。