「匂いを取り戻せ!」
牧師 横山順一
 
 仏教で言う「住職」のキリスト教版が牧師だ。このご時世、「住む」ことが「職」とは、何とも面はゆい(もっともただ住むだけじゃないのだけど)。
 もともと在宅勤務のようなものだったが、コロナのせいでいよいよ外出機会を失っている。
 韓国ドラマを除けば、テレビを見るほうではなかったのに、今は見る時間が増えた。そのほとんどはニュースだ。
 画面に映されるのはコロナ関係の報道ばかりだが、情報として見ない訳にも行かない。
 半分うんざりしているところ、更に傷口に塩を塗り込むかのように感じられるのが、「何でこの人?」の登場である。
 感染拡大このかた、毎日、毎度必ずと言っていいほど某都知事や、某府知事が現れる。そして「この二週間が山場」として「不要不急の外出自粛、三密の徹底」をこれでもかと呼びかける。
画面を通して密かに「黙って従え」光線が出てはいないか。「従わないなら名前を公表」って、魔女狩りのようで怖さも感じる。それでか、彼らの人相まで悪く印象づけられる。
 そう言えば、九年前の東日本大震災に伴う福島原発事故の時も、同じ面々が登場しては同じ発言を繰り返していたのを思い出す。延々流されたCMは、刷り込みか洗脳のように感じたものだ。
 何で兵庫県に住んでいて、日々都や府の首長の呼びかけを聞かされねばならないのかね。
そのたぐいは現役の首長に留まらない。タレントや弁護士だった元知事たちが、まるで現役かのような発言を重ねる。「僕が知事だったら・・」とか、辞めなきゃ良かったじゃん。
 これを後押しするのがワイドショーが起用する、この時だけの「評論家」たちだ。さすがにこれは見る気にならない。
 しかしネットを開くと、他にもこの時ばかりにモノ申す人たちがあふれている。例えば、今は実業家の○○エモンさんやら、有名美容外科の△△医師やら・・。
 悪いけど、げんなりだ。彼らはもしかしていつかに備えて選挙運動してるのか?などと勘繰りたくなる。
 同じようなメンバーが、結局一方的にしゃべっていると、ブレーキがかけづらくなって、暴走の危険度が高まる気がする。
 他県ナンバーの車を調査するとT県知事が発表したと思ったら、同様にGWに検問で検温をして取材されて「来たことを後悔すればよい」とO県知事が述べた。もはや悪代官のノリに近い。そこまで言うのは悪臭だぞ。 
 コロナ感染の初期症状の一つが、臭覚や味覚を感じられないというもの。匂いは大事だった!
 これはなかなか示唆的だ。致し方ないとはいえ、対人の環境が、すっかり「オンライン」に取って変わられそうな現況だけど。
 残念ながら画面からは、どんなに工夫しても、匂いも味も伝わらない。
 もうコロナ前には戻れない、なんていう悲観論もあるけれど、そうは行かない。
 収束したら、匂いが戻り、味が戻り、空気が戻る。多様さの欠かせない構成要素が帰って来る!