「紙よ、さらば」 牧師 横山順一

 新たな通帳(教会の)を作る必要ができたので、M銀行に行くことになりました。

教会の通帳だから、代理人では面倒が多いので、代表たる私が行くのがスムーズであろう。

と、期待したのは、甘かったのでした。最初に言われたのは、一件に一口座が原則ということで、どういう理由で二つめが必要なのかを、事細かく聞かれる羽目にあいなりました。

だからと言って、それで即OKではないのです。それからが更に面倒臭いのです。

宗教法人の謄本、及び印鑑証明が必要になります。これは法務局に行かねばなりません。

実はM銀行に、教会の口座が既に三つあって、銀行側は当然それを知っているはずです。

それなのに、再度、謄本やら印鑑証明やらを提出せねばらないとは、何だか釈然としません。

それでも、この二つはまだよろしい。三つめの書類として「実質的支配者の確認ができる書類」を出せ、とおっしゃる。意味が分かりませんでした。

謄本に、代表役員として私の名前が書かれているのです。それで十分ではありませんか?

だいたい、「実質的支配者」という文言が嫌らしいです。思わず、「キリスト教会の実質的支配者は、イエス・キリストですよ」と答えてしまいました。

「ただし、見えないので確認できませんが」と付け加えました。担当の方は、苦笑しておられました。

結局、これは県に提出している役員名簿で充当することになりました。(その上で、本人確認として免許証をコピーされるのです)。

そして、これらを提出したら初めて、口座開設できるかできないかの審議に入るそうで、統一協会のような訳の分からんところもあるから仕方ないのですけど、とにかく大仰ではあります。

今年は、宗教法人の規則の改定のために、六月から準備を開始しました。

まずは直接の包括団体である兵庫教区に書類を出します。それをクリアすると、日本基督教団に提出となります。

この時点で、二つの団体から何度か訂正など書き直しを指示されます。

教団の許可が出ると、兵庫県の宗教法人係に提出します。ここでも訂正などのやり取りを重ねます。

県の認証を得たら、二週間以内に法務局で変更登記をせねばなりません。

登記を終了したら、教団と県にそれぞれ完了報告書を出して、やれやれ、これですべてが終わります。都合三か月かかりました。

そう言えば、私は自分の車を教会の敷地に置いているので、代表役員として「横山順一」さんに駐車を許可するという、マンガのような書類を警察に提出しています。

これらの手続き、ホントどうにかして欲しいです。これほど「紙媒体からデジタルへ」と言われている割には、どんだけ紙の書類だらけで、時代錯誤ではないでしょうか。

「紙よ、さらば」です。「髪よ、さらば」ではありません。もちろん「神よ、さらば」でもありません。おやじギャグを飛ばしたくなる気持ちを加味して下さいな。