No.95
「ダジャレ、誰じゃれ」
牧師 横山順一
「東大一直線」「ゴーマニズム宣言」で知られる漫画家・小林よしのり。もう一つ欠かせない代表作が「おぼっちゃまくん」だ。
一九八六年から九四年までのヒット作だが、ダジャレの嵐だった。主人公が飛ばす「おはヨーグルト」「こんばんワイン」「さいならっきょ」などのギャグが当時の子どもたちにバカ受けした。親たちは眉をひそめたが。
小林の言葉遊び路線は今でも健在で、「ばしゃ(馬鹿)言ってんじゃないよ!」と叫ぶ背景には、疾走する馬車が描かれる。
「そんなパカなことがアルパカ」のセリフには、まさにアルパカが登場する。
可哀想な時には、「かわウソに~」とカワウソが泣くし。
「意味なしほういち」と宣言するシーンには、耳なし芳一を思わせる、全身に写経された坊さんが、という具合である。
これらは、小林マンガになくてはならない必須のダジャレ&キャラクターで、くだらないと分かっていても、毎度笑ってしまう。
ダジャレは、上方漫才と同じで、「言うたもん勝ち」、しつこいほどの「繰り返し」が鉄則なのだ。
ま、別に小林よしのりにみんなが洗脳された訳ではない。にしても、つい口にしてしまうダジャレは誰しも結構あるのではなかろうか、きっと。
多分、私くらいの年齢の日本人の八割(?)は、怒った時に「ハラタツノリ!」って怒鳴っているのでは?
課長どころか、社長・会長を経て相談役にまで上り詰めた、弘兼憲史の「島耕作」シリーズで、ゴルフでOBを打った人に「おっと、崖下ケイコ!」と苦笑いする場面があった。
原辰徳さんにも竹下景子さんにも申し訳ない(笑)のだけど、これを言わねばならない絶好のタイミングがあるのだ。
かく言う私にも、年を経ていよいよ定番のダジャレが幾つかある。定番と言うより、ワンパターンかもしれないが。
例えば、何かの量が多過ぎると感じれば、「オオスギサカエ」と間髪入れず口に出る。値段が張る時は百%「タカスギシンサク」。
勝手なもので、少な過ぎ・安過ぎる時には、何も出て来ない。おモロイのがあったら、ぜひ教えて欲しい。
カーナビから「その先、道なりです」と指示されれば、「あ~、マツシタミチナリね」と絶対答えてしまう。
絶対って、誰や、それ?だ。知っている人は知ってるし、知らない人は徹底的に知らない人(因みに、後輩の牧師です)だから、万人受けギャグではない。
OKを出す時や、逆にどちらも構わない時には、ついつい「イーデス・ハンソン」となる。
考えてみると、意外に人の名前もじりが多い。しかも身内や時代の影響が大きい。
機械的に「どうでもイーデス・ハンソン」ってつぶやいて、ハッとする。もはや若い人には分かるまい。意味なしほういち、だ。
でもね、もともとダジャレに意味などない。求められても困るというもの。
ダジャレ好きに付ける薬はない訳で、困ったもんじゃ焼き。ドウシシャもんじゃろの~。