コスモス2 (2)

《本日の説教要旨》

 イエス様は「招待を受けたら下座に座りなさい」(10節)と言われました。「『もっと上席に進んでください』と言われて面目を施すことになる」(10節)とも。人々が上座を好んだのは上座の方がご馳走だからです。私は、大学院生の時に学部の学生を連れて鳥取に伝道旅行に行きました。ある人が湖山池の畔の旅館に招待してくださったのでイエス様が言われたように下座に座りました。すると、下級生のSが「俺ここが良い」と言って一番上座に座りました。招いてくださった方は「オホホホ」と笑ってばかりで、現実には聖書の言葉通りになりませんでした。でもその方はイエス様が言われた本当の意味を理解しておられたのです。

当時の世界の常識は「等価の概念」です。等価の概念とは昔のバビロニアのハムラビ法典に記されていた「目には目、歯には歯」、人に危害を与えられたら同じだけの復讐は許されるという考えかたです。それがGive and Takeの考え方です。しかし、イエス様はGive and Giveこそ神様のみ心であり、神の国の求めることであると言われたのです。処世術として言われたのではなく、宇宙の法則にそった愛のエネルギーを放出して生きなさいと言われたのです。

3つ目の段落の15節に「ある人が神の国で食事する人は幸いです」と言うとイエス様は譬えを話されて招かれても誰も行かないと言われました。何故なら私達はTakeがないと魅力を感じないからです。私達の人間関係は4つのパターンに分類できます。give and takeかtake and give。ご馳走をして見返りを期待するのはgive and takeです。take and takeは相手から奪ってばかり。イエス様が求められたのはgive and give。与えっぱなし、見返りを期待しない関係です。それが出来るのは神様です。神様は、イエス様を十字架に架けて私たちの罪を赦し、「生きよ」と言ってくださいました。それが神の国。

讃美歌アメイジング・グレイスはジョン・ニュートンによって作詞されました。彼は、7歳の時に母親と死別して、男手で育てられ若くして船乗になりました。当時盛んにおこなわれていた奴隷貿易にも手を出して大きな利益を得ました。1748年、嵐に遭って死を覚悟し時、幼時に母親に教えられた祈りを思い出して神様に祈りました。すると、不思議なことに舟の浸水が止まり、舟は沈没を免れました。奴隷貿易をしていた自分のようなものを神様は憐れんで助けてくださったと理解し、奴隷貿易を止め、やがて船を下りて牧師になる道を歩み始めました。アメイジング(言い表せないような)グレイス(恵)を神様が私に下さっているから、上座に座ってご馳走が食べられなくても充分な恵みを受けていると感謝して神の国に生きようと決心したのです。