《説教者紹介》
水島祥子(みずしましょうこ)。頌栄保育学院/頌栄短期大学の宗教主事/教員。
1977年滋賀県生まれ。2000年高知女子大学家政学部家政学科を卒業、2005年同志社大学大学院神学研究科聖書神学専攻(旧約)を修了、日本基督教団膳所教会、希望ヶ丘教会、延岡城山教会の担任教師、2015年度より松山東雲女子大学・短期大学宗教主事、松山東雲中学・高等学校宗教主事を経て、2023年度より現職。

《説教要旨》 『ケを大切に』

このクリスマスをどう迎えたか。クリスマスから3週後で未だにこの箇所? 意味深な説教題で御髪を守る牧師をいじっている? 否、こちらは大真面目。
今年度、頌栄幼稚園、頌栄会2つの保育園のクリスマス礼拝で各々ページェントを拝見。短大では博士役で出演! 短大「クリスマスの夕べ」では、佐々木咲野加さんがメッセージと歌、聖歌隊とのコラボを含むコンサート。すべての人に平和をもたらす救い主の到来を祝い、争いが続く世界に平和実現への切なる願いが会場中に満たされた。
クリスマスはキリスト教の3大祝祭で、待降節から燭火点灯しつつ楽しみに待つ特別な「ハレ」の日。その他の日は特別ではない「ケ」の日。「ケ」は日常であまり注意を向けないが、「ハレ」を特別に祝うために、「ケ」の日々をどう紡ぐかが大切。

クリスマスは特別。クリスマスだけを殊更に祝う巷の過ごし方ではなく、待降節も含めて、わたしたちが救い主を迎えるに相応しい日常を過ごせているか。待降節、降誕日を経てなお、その思いを持ち続け、イエスの受難を想起する受難節にもその思いは続いていく。
イエスの誕生物語のうち、イエス誕生の次第の後、本日の箇所である占星術の学者たちの訪問があり、エジプトへの避難、ヘロデ王の男児殺害、エジプトからの帰国という流れ。イエス誕生にまつわる物語だが、学者と星のモチーフを含む伝承と、ヘロデ王に関する伝承が組み合わさって編まれている。そのため、星に導かれているはずの学者たちがわざわざヘロデにイエスの居場所を尋ね、またヘロデは驚き不安になりながらも彼らに尾行の兵を付けないなど、不都合が生じている。

ともあれ、この物語の特筆点は、学者たちがユダヤ外の異邦人であることと学者たちが日常へと帰って行ったこと。救い主待望のユダヤ民族ではなく、異邦人が真っ先に救い主誕生を見出し、遠路を厭わず宝物を携えきて礼拝をしていた。イエスがユダヤの救済に留まらず、他民族の救済も成し遂げる存在だと示され、学者たちは別の道を通り、安全に日常へと戻っている。
わたしたちはどうか。立場の異なる者を異質なものとして排除してはいまいか。年初は能登半島地震が起こったが、非常時に役立つのは日常の関係性。「ケ」である日常にできぬことは非常時など絶対にできない。

イエスの誕生を祝うとき、その生き様をも心に留めて、自らも「小さなキリスト」となるべく「ケ」を大切に紡いでいきたい。