「シンプルな魂」
牧師 横山順一
「木村屋のあんパン」、「太田胃散」、「福助の足袋」、「トマトケチャップ」、「三ツ矢サイダー」。これらに共通するものは何でしょう?
鋭い人には簡単でしょうか。これらは発売以来、百年以上となるロングセラーの文字通り「百年商品」なのです。
もちろん森永のミルクキャラメルやセーラー万年筆など他にもまだまだあります。
調べると、浅田飴もサクマのドロップスも、赤玉ワインも金鳥の蚊取り線香も仁丹も・・・。
一番古い木村屋のあんパンは、何と一八七四年(明治七年)の発売ですから、百年どころか百四十四年になります。
福助の足袋はまだ売られていると言っても、足袋を履く人は現代限られているでしょうから、売れてると言うより、「作りつづけられている」とした方が良いかもしれません。
森永のミルクキャラメルも、売られているのは知ってるけれど、余り買いません(少なくとも私は)。 なぜなら、歯にくっつくからです(笑)。済みません、森永さん。
これらの百年商品は、「シンプル」という、これまた共通項があります。奇をてらってあれこれ派生を狙ったり、手を加えたりせず、ひたすら原点に忠実に作られ売られて来たのでしょう。
時間的長さから言えば、五十年ですから、まだまだ先輩たちのようやく半分のものを、先日買いました。ココナッツ・サブレです。
どこが作ってたか知りませんでした。日清でした。でも子どもの頃からあって、時々スーパーで目にすると、食べたい訳ではないのに、思わず買ってしまうのです。
ゴホンと言えば「龍角散」も、今年五十年とテレビCMで流されていました。それから「ボンカレー」も五十年となりました。百年と言わず、五十年でもすっかり根付いているものです。
四月に、以前いた岐阜地区の飛騨高山教会が創立五十年を迎え、記念礼拝をされます。それに招待されました。
十八年前に、新会堂が献堂され、家族で出席したのを思い起こします。同教会は、現在の大塚信明牧師のお父上が設立し、親子二代で五十年を経ました。以前は幼稚園もやっていました。多分、高山で十分定着したと思います。
今年は明治維新から百五十年だと政府が喧伝しています。何も実感は湧きませんが、明治からたった百五十年なのかと、むしろ「短さ」に驚きます。
わが東神戸教会は今年六十五年を迎えます。それなりに定着したと思っていますが、まだまだこれからでしょう。
でも、明治からたった百五十年ですから、ちっとも焦ることはないのです。
「これ」というシンプルな魂を持ち続けること、これがロングセラーの秘訣であり、定着の要だと心します。
おっと、クリスマスもイースターも、百年どころかミレニアムですよ。今年のイースターは、四月一日。レントを過ごしつつ、春の到来が待ち遠しい季節です。