20151122  『 幸せなレシピ 』 申命記 14:22〜29
 
 「ゴロリともりのレストラン」という絵本を読みます。これ、怖い絵本ですよ。
 
 どうでした?怖くなかった?怖いですよね。このレストラン、好きなものが何でも食べられるんですけど、幾ら食べてもキリがないんですよ。それに一人ぽっちです。
 カエルも人間も食べないと生きて行けないんだけど、このレストランでは幸せではないですね。
 さて、今日読んだ聖書の箇所は旧約聖書の申命記でした。この書物にはモーセが神さまから与えられた命令が、さらにイスラエルの民たちに伝えられたことが書かれています。有名な「十戒」もこの中に書かれています。
 それで、今日の箇所には「収穫の十分の一に関する規定」という題が付けられていました。このところから、献金はお給料の十分の一を目指そうと決めている教会もあります。ともかく毎年得る収穫物のうち、十分の一を取り分けねばならない、と神さまは示されたのです。仏教でもお供えをします。ご仏前にお菓子や食事や果物などを供えて、仏さまに献げるんですね。或いは先に亡くなった方々へ供えるんですね。
 それに形は似ていますが、申命記を読んでみると、仏教のお供えと内容が随分と違います。何で十分の一を献げるかというと、23節にあるように「あなたの神、主を畏れることを学ばねばならない」からだと言うのです。これはつまり、収穫物は神さまが下さったものだからです。収穫物を得るために、もちろん人間も努力しますが、決して人間の努力だけで得たのではなく、もともとは神さまが育て、下さったものだという事を忘れないようにしましょうということなんです。
 そして、続けて読んで行くと、更にこう書いてあります。色んな食べ物や飲み物がありますが、みんながそれを自分で作れる訳ではありません。みんながそれを神殿に毎年献げることもできません。だからそれが出来ない人はお金で買いなさいと言われるのです。買ったものを、26節、「あなたの神、主のみ前で家族と共に食べ、喜び祝いなさい」とあるのです。神さまが下さった物だという事を覚えて、家族みんなで食べて喜び祝いなさい、ということなんです。
 そしてもう一つ、3年目ごとに更に収穫物の十分の一を取り分けなさいと言われるのです。それは割り当てのないレビ人や町の中にいる寄留者、孤児、寡婦たちにあげるためです。レビ人は当時みんなから嫌われていた人たちでした。それから寄留者は外国人のことです。そして孤児とはお父さんやお母さんのいない子どもたち、そして寡婦とは夫が死んだり、別れたりして一人で生きている女性。要は、みんな生活が苦しい人、寂しい人たちです。そういう人たちにも分けてあげましょう、と神さまは言われたのです。
 それも28節を読むと、ほんの少し分けてあげるのではなく、そういう困っている人たちが食べて満ち足りることができるようにしなさい。つまり十分に分けてあげましょうと言われたのです。神さまからのおすそ分けの気持ちがここに記されています。
 最初に読んだ絵本は、おすそ分けの話ではありませんでした。一人っきりで全部食べてしまう話。たまにはそんなことして見たいって思わなくもないけど、キリがないし、幸せじゃないです。
 僕は家族が留守の時、一人でウナギ一匹買って来て、こっそり一人で全部食べたことがあります。おなかは満腹しましたけど、幸せじゃありませんでした。うちの子どもたちがまだ小さかった頃、納豆ひと箱を5人で分けて食べましたが、それは少し貧乏臭いことでしたが、不思議に幸せでした。
 おすそ分けって素晴らしい、その気持ちが満ちています。幸せを造る方法は幾つもあります。だけど色んな条件があるので、こうすれば必ず幸せになるという、幸せのレシピは存在しません。だけど幸せなレシピはあるのです。それは分かち合うという事です。おすそ分けという事です。
 この後、今日は収穫感謝の愛餐会で、みんなで食事を頂きます。愛餐会って言う言葉は、普通は使わない珍しい言葉ですね。教会でしか多分使われないです。これは新約聖書のユダの手紙の中に出て来る言葉から来ています。
 その元になった言葉は、ギリシャ語で、アガペーという言葉なんです。これは「愛」という意味です。ですから愛餐会とは、簡単に言うと、「愛の食事」という意味なんです。神さまから与えられた食べ物を感謝して、みんなで分かち合うのです。それが愛餐会です。
 神さまがまずは私たちに愛のおすそ分けをして下さいました。うれしい事や喜びは他の人にもおすそ分けしたいです。もらったみんなが幸せになりました。私たちもお互いに愛のおすそ分けをしましょう。これこそ幸せなレシピです。


 天の神さま、愛のおすそ分けをありがとうございます。私たちもあなたにならって分かち合います。食べ物だけではなくて、愛を分かち合い、心を分かち合いたいと思います。どうかアガペーの心を育てて下さい。


 
 
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