《説教要旨》『へいわをそだてる』                 大澤宣 牧師

 マルコによる福音書4章26~32節

 今から500年くらい前のこと。ユダヤの町エルサレムを取り合って、神聖ローマ帝国とオスマン・トルコという国の間で戦争が続いていました。これ以上戦争をつづけたらみんなだめになってしまうと思い、戦争をやめる相談が始まりました。ローマからギスラン・ド・ビュズベックさんという人がトルコに送られました。

ビュズベックさんがトルコに向かってすすんでいたとき、道ばたにとても美しい花が咲いていました。「これは何という花ですか」とトルコ人の通訳の人にたずねました。「これですか。このチューリパンみたいな花ですか」と通訳の人が言ったのです。ビュズベックさんは、きれいな花に見とれていて、チューリパンみたいな花ですかと言われたのを、そのままこの花はチューリパンというのだと思ったのでした。

ビュズベックさんは、この花を大切に持って帰って育てました。戦争をやめる話し合いも成功しました。その時から、チューリップは「平和と友好の花」と呼ばれるようになったのです。

100年くらい前、富山県でチューリップを育てることが始まりました。水野豊造(みずのぶんぞう)さんという人がチューリップを育ててみんなに見てもらおうと思ったのでした。子どもの頃から体が弱くて、都会に働きに行くことができなかった水野さんは、自分が育った村でチューリップを育てようと思ったのです。

チューリップが育って、もうすぐ花が咲きそうなとき、畑が荒らされて、全部ちぎられてしまいました。水野さんは悲しい気持ちになりましたが、ちぎられてしまったチューリップの根っこを掘ってみると大きな球根が育っていたのです。お花が咲く前に、上手にしたら大きな球根が育つことに気がつきました。そして、たくさんの球根を育てて売るようになりました。とてもよく売れていたのですが、あるときから急に売れなくなりました。戦争が始まって、チューリップを育てることがぜいたくなことだと思われたのです。

 「戦争はいつまでも続かない。平和な時代が来たら花はみんなに喜ばれる」。水野さんはそう信じて、畑の隅にかくすようにしてチューリップを育てました。戦争が終わり、水野さんは新しくできた種類のチューリップを育てるようになりました。水野さんはそのチューリップに「平和」という名前をつけました。

 イエスさまは、みんながうれしい気持ちで過ごせる神様の国は必ず大きく育ちますよと約束してくださいました。いつか、きっと実を結ぶようになりますよと約束してくださいました。この約束を信じていきたいと思います。