《説教要旨》『塩の効き目』                 大澤宣 牧師

 マタイによる福音書5章13~16節

  「へいわってなにかな。/ぼくは、かんがえたよ。/おともだちとなかよし。/かぞくが、げんき。/えがおであそぶ。/ねこがわらう。/おなかがいっぱい。/やぎがのんびりあるいている。/けんかしてもすぐなかなおり。/ちょうめいそうがたくさんはえ、/よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。/みなとには、フェリーがとまっていて、/うみには、かめやかじきがおよいでる。/やさしいこころがにじになる。/へいわっていいね。へいわってうれしいね。」

  2013年6月23日、沖縄慰霊の日に、糸満市の平和祈念公園で行われた沖縄全戦没者追悼式で安里有生さんが朗読された「へいわってすてきだね」という詩の一部です。その願いにもかかわらず、世界中で戦争が続いています。その中で、私たちに何ができるのかと思わされています。

  イエス・キリストは「あなたがたは地の塩である」と語られました。あなたがたは地の塩なのだ、そうなのだと約束してくださり、それぞれの務めを委託しておられるのです。それは、自分の我を張って、自己主張することではありません。塩は料理に使われるとき、原形をとどめることはなく、溶け込んでいってその役目を果たします。自分の存在が消えてしまってでも、働いていく、仕えるものとなる、そのようなことを思わされます。

  そして、私たちの信仰という塩を、それがたとえ表に出なくてもしっかり持っていなければならないのだと思います。私たちはこの世の力に従わせられるものではなく、神様の言葉によって立たされているものです。小さな者であり、目立ったことはできない、そんな私たちが、あなたがたは地の塩である、世の光であると呼びかけられているのです。

  視覚障害者の方たちの情報文化のために働かれる日本ライトハウスを創設された岩橋武夫さんがこのように語られました。「実に小さな信仰であり、小さな愛、小さな光ではあった。今生かされているこの恵みの体験は、私を励まし、常に人生を歩んでいく原動力となったのだ」。岩橋武夫さんは、長い闘病生活の中で希望を失いそうになったとき、「おまえが生きていてくれる、それが私の命だ」という母親の深い愛の言葉に胸を刺され、生きていこうと心に誓われました。

  愛によって生かされている私たちの命が、地の塩であるということ、世の光であるということが告げられています。イエス・キリストから告げられたこの使命を託されていることを受け止めて、私たちそれぞれの生を生きるものでありたいと願います。