東神戸教会
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メッセージ

20170115 梅川正太神学生 『 タッチ 』 マタイによる福音書 8:1~4

 私が教会に関わるようになったのは二つの理由があります。一つは家族がクリスチャンであったということ。もう一つはハンセン病との出会いです。
 私が高校二年生だったころに好善社というキリスト教を母体としたハンセン病支援団体を通して、タイのコロニー(日本で言うところのハンセン病療養所)でワークキャンプをする機会が与えられました。小学校一年生までは毎週教会に通っていましたが、父の転勤もあり教会から遠ざかっていた私には、異国の地、しかもよく聞いたことのないどうやら差別されていた病気の元患者さん達やその家族の中で、エレキギター、エレキベース、ドラムで讃美歌を歌う礼拝はとても新鮮でした。そこで当時の私はキリスト教にもハンセン病にも興味が湧きました。
 ハンセン病とはらい菌によって引き起こされる感染症です。おもに鼻腔粘膜から感染すると考えられていますが、感染力・発症力ともに弱く日常生活において感染することはほとんどありません。   1943年にプロミンという特効薬が開発され、ハンセン病は速やかに治癒する病気となりました。しかし末端神経と皮膚が侵されるので顔や手足の変形という後遺症により強い差別を受けてきました。
 ご存知のかたも多いかもしれませんが、日本という国ではハンセン病患者はハンセン病対策を謳った法律の元、強制収容、完全隔離が行なわれていました。そのハンセン病対策の法律は1907年から少しずつ名前を変えながら1996年の廃止まで20世紀のほとんどの間続きました。その基本的思想は、終身強制隔離・患者絶滅政策という誤った社会防衛論でした。強制収容や患者のすんでいた家の消毒は、患者本人や家族に全く配慮しない見せしめ的な形で行われ、周囲の人々に恐怖心を植え付け、ハンセン病患者及びその家族への差別を決定的にしました。自分だけでなく家族までも差別の対象になってしまうため、多くの患者は自身の存在を隠すため仮の名前を使うこと、また亡くなったことにしている場合も少なくありませんでした。療養所とは名ばかりでほとんど強制収容所だったと聞いております。そして基本的思想に患者絶滅を置いているので施設内で結婚する場合、断種、堕胎が条件となっていました。断種にいたっては1992年まで行なわれていました。
 タイは国民の90%以上が仏教徒です。60年ほど前にタイの国王が全国的にハンセン病患者たちに心穏やかに暮らす場所をという目的でコロニーを作るまで、輪廻転生の考えが根強いタイでは、ハンセン病患者さんたちは「前世の行いが悪かったのだ」と激しい差別の対象とされていました。私が出会った患者さんたちは日本と同じく、家族に迷惑がかからないようにと逃げるように山を越え、国立ハンセン病病院に駆け込みました。そこでも家族との縁を切り、亡くなったということにしていたそうです。

 さて本日の聖書箇所ですが小題にも出てくる重い皮膚病とはハンセン病も含めた当時不治の病とされていた皮膚病全般を差します。その当時この人々は律法で穢れとされており、街から離れたところで暮らさなければなりませんでした。存在が法律違反といわれるようなものです。やむを得ず街に出る場合は「私は穢れた者です。」と繰り返し繰り返し唱えなくてはなりませんでした。万が一、自分に触れてしまうと穢れが移ってしまうので皆さん気をつけて下さいと自ら注意を促すのです。そしてその苦しみの中にある人をイエスが癒します。ここでまずイエスは3節にあるように、まずその人に手を差し伸べて触れるのです。ここにイエスの大きな愛を感じないでしょうか。いままで他人との接触を持つことのできなかった人に触れ、あなたと共に生きる、あなたの苦しみや重荷を共に担うということを明らかにしているのです。その後に続く「よろしい。清くなれ。」と言う言葉は神の言われた「光あれ。」と同じ質の言葉です。そこにイエスの意志が強く込められています。
 神の子イエスのようにいきなり触れて、その人の苦しみを担うことはできないでしょう。しかしその人に寄り添い、共に歩くことはできるのではないでしょうか。






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